ひと昔前まで、「マンション購入」といえばファミリー世帯のイベント…なんてイメージがあったのではないでしょうか。しかし近年では、資産形成の一環としてマンション購入を検討している独身女性の事例も聞かれるようになってきました。
独身女性がマンション購入をする際の注意点や物件の選び方などを、こちらでご紹介します。
マンション購入に踏み切る理由って?
ひと昔前と違い、独身者がマンション購入に踏み切るようになった背景には、どのような事情があるのでしょうか。
シングル世帯が増加している
近年、生涯未婚率が上昇してきています。生涯未婚率とは、50歳代まで一度も結婚したことがない人の割合を指す用語です。1985年の生涯未婚率は、男性3.9%、女性は4.3%という結果になっていました。しかし、2010年には男性が20.1%、女性が10.6%、2015年には男性が23.4%、女性が14.1%という結果に。生涯未婚率が増えたことでシングル世帯が増加し、結果的に「独身者のマンション購入」というケースも目立ってきたといえます。
低金利が続いている
住宅ローンの金利が低くなったことで、住宅ローンを借り入れるハードルが下がりました。「金利が低い今のうちに、マンションを購入したい」と考える人が増えるのは自然なことだといえるでしょう。
資産形成の一環として
「老後資金は最低でも2,000万円必要」というニュースに、衝撃を受けた人は少なくないはず。マンションは、ローンを完済すれば持ち家(=資産)となり、住み続けることはもちろん売却したり賃貸物件として活用したりすることも可能です。「老後に備えて、資産になるマンションを購入したい」と考える人が増えたと考えられます。
老後の住宅事情を考えて
一般的に、高齢になると賃貸物件を借りづらくなります。高齢者の主な収入源は年金であるため、現役世代に比べると収入が低くなります。そのため、賃料の保証会社が高齢者の審査を厳しくしているケースが多いのです。また、高齢者は現役世代と比べると孤独死のリスクが高く、大家さんからも懸念されやすいという面もあります。
「若いうちから思い切ってマンションを購入し、老後の住宅事情に備えたい」という理由から、独身者がマンションを購入するケースが目立ってきたといえるでしょう。
独身女性がマンションを購入するメリット
独身女性がマンションを購入することで得られるメリットは、主に以下のような点があげられます。
将来的に資産が持てる
そのまま住み続けることができるのはもちろんですが、賃貸物件として活用したり売却したりと、資産として活用できます。「定期的な家賃収入が入る」「売却してまとまったお金が入る」という安心感は大きなものです。現役世代のうちにローンを完済してしまえれば、老後の住まいの心配や家賃の心配もなくせます。
生命保険の代わりとしても活用できる
マンションを購入する際は、住宅ローンを組むことになります。住宅ローンの借入時についてくるのが、「団体信用生命保険」です。これは、ローン返済中に契約者が死亡・または事故による高度障害などでローンを返済できなくなったときにローン残高が0になる生命保険のこと。後に残ったマンションを売却すればまとまったお金ができるため、ローン残債と同じ金額の生命保険として活用できるといえます。
独身女性がマンションを購入するデメリット
独身者のマンション購入には、メリットだけでなくデメリットもあります。購入前には、デメリットもしっかり把握しておきましょう。
すぐに売却できるとは限らない
一般的に、単身者用マンションは売却しづらいというデメリットがあります。リセールすることを考慮して、ニーズの高いマンションをある程度押さえておく必要があります。
老後の生活にマッチするとは限らない
現役の頃と老後では、マンションに求める条件は異なるもの。例えば現役の頃は「職場の近くがいい」と思っていても、老後は「静かな立地がいい」という考え方へ変化することが予想できます。自身のニーズの変化にも耐えうるようなマンションを選ぶことが重要です。
収入の変化によってローン返済が辛くなることも考えられる
転職をしたり、結婚して時短勤務になったりして収入に変化があった場合、ローン返済の負担が大きくなる可能性もあります。賃貸物件であれば家賃の安い物件へ引っ越せばいいのですが、購入したマンションだとそれも難しいでしょう。
住宅ローンをシミュレーションしてみよう
住宅ローンの借入限度額は、年収によって変わってきます。また、月々の返済額もその時々の金利によって変動するため、その点についても留意しておきましょう。「年収の25%程度をローン返済へ充てる」「借入年齢は35歳」「金利は1.5%で固定」という条件をもとに、年収別の借入限度額の目安をまとめました。
- 年収300万円/借入限度額目安:2,058万円/毎月の返済額目安:63,000円
- 年収400万円/借入限度額目安:2,711万円/毎月の返済額目安:83,000円
- 年収500万円/借入限度額目安:3,397万円/毎月の返済額目安:10万4,000円
マンションを購入する際に必要となる初期費用
マンション購入時には、物件の価格以外にもさまざまな初期費用が発生します。その費目の一部を、以下でまとめました。
頭金
いわゆる自己資金のこと。物件価格の1~2割程度を、頭金で賄うのが理想的です。頭金がなくても住宅ローンを組むことは可能ですが、借入額及び借入利息を少しでも抑えられることを考えると、ある程度の頭金は用意しておきたいところです。
住宅ローン事務手数料
住宅ローンを組む際に、金融機関へ支払う事務手数料です。審査で必要となる書類やその書類を管理する手間に対する費用だと捉えると分かりやすいでしょう。
保証料
ローンの保証会社へ支払う保証料です。万が一ローン返済が不可能となった際に、保証会社が代わりにローンを立て替えてくれる制度があります。この返済不能の事態に陥った際のリスクを考慮して、保証会社へ支払う費用だと考えましょう。
登録免許税
不動産の登記、及び抵当権を登記する際にかかる税金のことを指します。
マンションを選ぶ際のチェックポイント
立地条件や住みやすさ、セキュリティ条件など、マンションを購入する際に注目しておくべきポイントをピックアップしました。
立地条件
後々リセールすることを考えて、マンションの立地条件に着目しましょう。「人気のエリアに位置している」「駅や商業施設から近い」などの条件がついていれば、将来的に買い手や借り手も付きやすいでしょう。ただし、人気エリアに位置していたり交通の利便性が良かったりする物件は、その分価格が高くなります。
周辺環境の良さ
マンション周辺の治安や、マンション内の環境も重要な要素です。近隣エリアで犯罪やトラブルが起こっていないか、マンション内で騒音やゴミ出しなどルールに関するトラブルが発生していないか、といった点をチェックすると良いでしょう。また、マンションがあるエリアの学区評判を確認するのもおすすめです。
物件内見の際は、室内だけでなくマンションの共有部分や周辺環境も忘れずチェック。時間に余裕があれば、昼間だけでなく夜間に周辺を訪れるのも良いでしょう。昼間は雰囲気が良くても、夜になると周囲の雰囲気が一変する……なんてことも珍しくありません。
セキュリティ体制
特に女性の場合、セキュリティ面を重視したいという方が多いのではないでしょうか。オートロック式であることをはじめ、「防犯カメラが設置されている」「管理人やコンシェルジュが常在している」などの条件が備わっていると安心です。
間取りの選び方
自身の住みやすさを重視することはもちろんですが、特におすすめなのが2LDK~3LDKの間取りです。この間取りであれば、将来的に結婚して家族構成が変化した場合にも柔軟に対応できます。スタンダードな間取りであるため、売却したりや賃貸物件として貸出たりする際も買い手・借り手がつきやすいでしょう。
新築マンションと中古マンション、どちらが魅力?
新築マンションと中古マンションには、それぞれ異なるメリットとデメリットがあります。
新築マンションのメリット・デメリット
新築マンションには、「最新のセキュリティや各種設備が搭載されている」というメリットがあります。住み心地よく、快適な住まいになるでしょう。また、新築であるため修繕積立金が安く抑えられるというメリットもあります。さらに、中古マンションとは異なり会社からの直販となるため、仲介手数料もかかりません。
新築マンションのデメリットとしてあげられるのは、やはり価格が高くなること。また、中古マンションと比べると資産価値が大きく下がりやすいというデメリットもあります。新築マンションの価格には、広告費や人件費などのコストが上乗せされているためです。新築から数年後には、価格が10%近く下落してしまうケースも考えられます。
中古マンションのメリット・デメリット
中古マンションには、「資産価値が下がりにくい」というメリットがあります。マンションの資産価値は、築6~10年で10%前後、11~15年では20%以上も下落してしまうといわれています。
その下落幅は、築30年前後で落ち着きます。したがって、マンションはある程度の築年数が経っていれば価格の下がり幅が少なく資産価値が保ちやすいといえるのです。また、中古マンションは新築マンションに比べると選択肢が多いという魅力もあります。「駅から近い」「生活の利便性が良い」など、理想とする条件に合った物件も探しやすくなるでしょう。
一方、中古マンションには修繕積立金が高いというデメリットがあります。マンションの設備仕様や構造が古く、それらをカバーするために修繕積立金がかさんでしまうのです。築年数によっては、耐震性や遮音性が気になる物件もあるでしょう。
大きな買い物だからこそ慎重に
老後の備えや資産形成の一環として、独身者がマンションを購入する事例は増えています。だからこそ、自身の収入や生活スタイル、ライフプランに合わせた購入計画が必要なのです。